自分で書いた遺言書を役所で預かってもらえると聞いたのですが、どのような制度なのですか?
2025.09.12
お尋ねの制度は、「自筆証書遺言書保管制度」と言われるものです。令和2年(2020年)7月にスタートした新しい制度で、自分で書いた遺言書を法務局が保管してくれるものです。
この制度を利用する最大のメリットは、自筆証書遺言のデメリットを補えることです。自宅で保管する場合に懸念される、紛失・隠匿・偽造・変造のリスクがなくなります。また、相続開始後の家庭裁判所での「検認」手続きが不要になるため、相続手続きをスムーズに進められます。
デメリットとしては、保管申請に3,900円の手数料がかかること、遺言者本人が法務局に出頭する必要があること、そして、法務局では遺言書の形式的な要件(自筆、日付、署名、押印など)は確認しますが、内容の有効性までは審査してくれないことが挙げられます。
この制度は、公正証書遺言のように専門家が内容をチェックするわけではないため、ご自身で作成する遺言書の内容には注意が必要です。しかし、手軽さと安全性の両方を兼ね備えた、便利な制度と言えるでしょう。